「あ、やばっ。」気がつくと、乗ろうと思っていたバスの時間が迫っていた。
2023年7月。いまや伝説的な番組となった「水曜どうでしょう」の新作がライブビューイングで公開された。
新作公開発表された日からずっとそわそわしていた。チケットが当選し、その日のうちに急いで買いにく。大切に枕元に置いて、まるで子供かのようにその日をまだかまだかと心待ちにしていた。
そんなに楽しみにしていたはずのライブビューイング当日。ぼーっと家でYouTubeを見ていたら、危うく上映時間に遅刻するところだった。財布とチケットだけを持って急いで家を飛び出した。
色々と乗り継ぎ、浜松駅付近のバス停に到着。出発３分前になんとか辿り着き、ラッキーなことに一番後ろの席を確保出来た。遠鉄バスに揺られて目的地に向かう。子供の頃から電車に乗る機会はたくさんあったのに、なぜかバスには縁がなく。バスに乗る時は若干の特別感＝ナゾの旅気分を感じていた。今回もナゾの小旅行の気持ちで乗車する。
浜松駅から45分ほどかけてお目当ての場所に到着。
本日の目的地「サンストリート浜北」。浜松市浜北区にあるショッピングモールで、このモール内に映画館がある。「サンストリート浜北」との記念写真を何枚か撮った後、気になる施設を横目に、まずはライブビューイングを鑑賞。いつかこんな伝説的な番組に出てみたいという気持ちを再認識して映画館を後にする。
▲「サンストリート浜北」前で一枚。快晴にも恵まれてご機嫌の様子
「サンストリート浜北」は３階建てのショッピングモールで、レストランエリアやイベントスペース、温泉施設にフードコートなどワクワクしかない。2階の奥には野外のイベントステージもある。きっと子供の頃に知っていたら、毎回「サンストリート浜北」に行きたいと駄々こねていたんだろうなあと思うほど、夢の空間が広がっていた。まあでも、そもそも駄々こねまくりの子供ではあったんだけど。そら、ろくな大人になれないわな。
これほど魅力的な施設があるのに、一目散に向かったのは西友。どんな物が売ってるいるのか即リサーチに入る。
いつの間にかスーパーの品揃えに興味を持つ体になっていた…。
一人暮らしを始めた頃は自分がこんな人間になるとは思わなかった。料理の動画を撮ってTikTokに上げる人生になるとは思わなかった。相方から誕生日にレシピ本をもらうような人生になるとは思わなかった。まさか相方の地元で人生初めての一人暮らしをするなんて夢にも思わなかった。
っていうか逆にそこまでの人生って何を考えて生きてきたんだろうか…。もしかしたら何にも思ってなかったのかもしれない。
西友の横にバローの看板が。普段行くのはスーパーマーケットのバローだが、ここにあったのはホームセンタータイプのバロー。どちらにせよ、浜松に来てから一、二を争うほどお世話になっている二大巨頭が横並びになっていてめちゃくちゃ興奮した。赤電で来た時に浜北に住みたいと思ったが、この夢の競演を見るとますます浜北に住みたくなった。前田敦子さんと大島優子さんが並んでいる時に感じたあの時のような感覚。世代出るのかな。よく幕張メッセ行ったんだよなあ。懐かしい。
▲浜松に来て大変お世話になっている西友とバロー。この看板の並びに大興奮
色々な店舗に目移りしながらも、軽く買い物を済ませて夢の空間を後にした。まだ夕方。外はまだ明るい。バスに乗ろうにもまだちょっと時間がある。どうしよう。
「よし、浜北駅まで歩くか」
気分が高揚していた。完全に。
遠鉄電車、通称赤電。以前、あかでんスタンプラリーと題し、１日フリーきっぷを使って全駅に降りた思い出の赤電。その時に一番好きだと思った浜北駅がここから徒歩で３０分ほどだ。
生まれてからずっと運動不足。そして、きっとこれからも運動不足。これぐらい歩いた所で何のたしにもならないが、散歩してみることに決めた。たまに歩くと爽快感があって気持ちいい。本当にたまに、なんだけど。
結構歩いたかなと思い、グーグルマップを確認したら２００ｍぐらいだった。このままだと４００ｍの時には心が折れる未来しか見えない。とりあえず道なりということだけ確認してスマホをそっとしまった。何が爽快感だよ。短距離走の距離じゃねーか。
道なりに歩いていくと田舎道に出た。
乾いた土の匂い。昔、おばあちゃん家に行った時に感じたあの匂い。嗚呼、癒される。ただひたすらにゆっくりとした時間が流れていた。すごくのどかで人もあまりいない。何にも考えずにぼーっと歩く。ちょっと“整った”気がした。サウナには入ってないけど。
気が付くと３０分以上歩いていた。疲労感よりも幸福感。ようやく駅に到着したと思ったら、浜北駅からひと駅進んだ遠州小松駅まで歩いていた。それに気づいた瞬間だけしっかりと疲労感。
▲「浜北駅」を目指していたのに、気づいたらそのひと駅先の「遠州小松駅」まで歩いていた…
そこからは赤電に揺られ、ゆっくりと帰る。赤電も遠鉄バスも戸惑う事無く、すんなりと乗れるようになってきた。浜松に移住して、少しづつではあるが浜松に馴染めてきた気がする。後は行きつけの中華料理屋さんが欲しいところだ。瓶ビールと餃子を頼んで、野球中継見ながらベロベロになれたら最高だ。
遠鉄バスで行き、サンストリート浜北でライブビューイングを見て、お買い物。浜松の風を感じながら歩いて、最後は赤電で帰る。自分なりの浜松小旅行は幕を閉じた。
帰りに大盛りラーメンとライスを食べて、歩いた分の倍以上のカロリーを摂取したことはナイショの話。
▲「サンストリート浜北」前でもう一枚。海外の観光スポットに遊びに来た気分
（文・写真／やらまいかカンパニー 大福）
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