だいふくの浜松びより（仮）10

「きた、きた、きたっ‼︎」

出来立てのげんこつハンバーグが運ばれてくる。湯気と興奮でよだれが止まらない。店員さんが目の前でハンバーグを半分にカットしてくれて、熱々の鉄板で焼き加減を調節する。その上からオニオンソースが一気にかかると、ジュワーという蒸発音と共にソースの匂いが広がる。思わずガッツポーズしそうになるほどの歓喜の瞬間。正直ここまでの残像だけで、ご飯は軽く3杯食べられる。さすがに食べすぎか。

『炭焼きレストランさわやか』

静岡県を特集する番組では度々紹介されており、もはや知名度は全国区と言っても過言ではないほどのハンバーグレストラン。

特に有名なメニューは、「げんこつハンバーグ」。

テーブルに運ばれてきて、店員さんの手により目の前で肉汁たっぷりジューシーに焼き上げて頂く絶品のハンバーグ。

相方のおちゃ丸は上京してきて初めて、”さわやか”が全国にない事を知った。

「静岡県民なら一度は食べた事はある」とネットに書かれるほど、県内ではあるのが当たり前の存在。

▲炭焼きレストランさわやか前でパシャリ。嬉しさでニヤニヤ。

浜松に移住して来る前、『さわやか』には2度ほど行った事があった。静岡県に仕事で行った際、「さわやかって知ってるか？めちゃくちゃうまいんだよ。静岡に来たら絶対食べないとだめ」そう言われ、先輩に連れてきて頂いた。お店に着くとたくさんの人だかりが。

コロナ禍前で長蛇の行列もあり約2時間待ち。人気アトラクションばりの待ち時間。外食であの時間待ったのは人生で初めてだった。整理券を取って別の場所で待機。でもそんな待ち時間の記憶が一瞬で吹き飛ぶほど、げんこつハンバーグは驚くほど美味しかった。

浜松に来てからも何度か行った。人生で浜松に初めて来た時やタイタン関連の人が遊びに来た時も『さわやか』に行った。みんな食べ終わるとニッコニコだった。

ずーっと食べたいなぁと思っていたが、なんだかタイミングが合わず、前回行った時から半年ほどが経っていた。

ある日、いつも夕方に終わるバイトが午前中で終わった。

「あー、運命だね、こりゃ」

「行くしかないね、まるちゃん」と、

まるちゃんとたまちゃんが頭の中で言ってくれたような気がして、体は自然と『さわやか』に向かっていた。こんなセリフ、ちびまる子ちゃんにはきっとないと思うけど。

相棒のチャリンコをかっ飛ばし、あっという間に『さわやか』に到着。幸い待ち時間もほぼなく席に案内してもらった。

ちなみに『さわやか』は待ち時間がサイトで見れるようになっている。待ち時間が少ない時間帯を狙ったり、いつでも好きなタイミングで『さわやか』に行けるのも浜松の魅力だと思う。

これはおちゃ丸が言っていたので引用させてもらう事にした。

げんこつハンバーグのセットを注文。オニオンかデミグラスのソースを選ぶ。本来ならばソースはどちらか。ここは課金して両方のソースをもらう事にした。ええい、もうコーラも頼んじゃえ。自分なりの贅沢注文を済まし、後は至福の時間が来るのを待つだけ。

「きた、きた、きたっ‼︎」

ここからは先ほどお話しした通り。げんこつハンバーグ対大福。試合のゴングが鳴った。オニオン側のハンバーグを食らい、米を口いっぱいに押し込む。デミグラス側のハンバーグを食らい、米をさらに押し込む。コーラでグイっと流し込む。

▲大福的大盤振る舞いソース２種がけ。左バーグがオニオンソース、右バーグがデミグラスソース

「あー幸せっ…!!」ドーパミンが脳から出ている事が実感出来るほど、さまざまな旨味に包まれる。牛肉100％のハンバーグは肉の旨味が存分に感じられ、その旨味をより強調してくれるオニオンソース。オニオンとは全く違う展開を見せてくれる、こちらも相性抜群のデミグラスソース。肉汁とソースが絡み合い、旨味が何倍にも膨れ上がる。

気がつくとあっという間に食べ終えていた。美味しさにボッコボコにされた。満腹という名の完敗だった。

浜松に来てからさまざまな美味しい物を食べた。だけどこのハンバーグだけはやっぱり格別だった。浜松に引っ越してきて本当に良かったと思う事は何点もあるが、さわやかにいつでも行けるという点はそのランキングでもトップ3に入る。もしタイムリープの世界に迷い込むなら、この時間を永遠にタイムリープしていたい。

幸せに包まれたままさわやかを後にした。他のハンバーグは当分食べれないね、こりゃ。ニッコニコの顔で店を後にした。ごちそうさまでした。