だいふくの浜松びより（仮）13

夜。一日のやるべき事を終えひっそりと準備して外に出る。最近は夜、散歩することにハマっている。一時間ほど何も考えずただゆっくりと歩く。あまり人に出会う事も無く、歩くことに集中出来て息抜きの時間になっている。

ある日、いつもより早く散歩に出かけられる日があった。ふと思う。「駅前でも行ってみようかな」

『JR浜松駅』。毎週木曜日、ラジオの生放送が『浜松駅』付近のラジオブースで行われるため、週に一度は必ず向かう。歩きで向かうには勇気のいる距離だったけど、幸いにも次の日は何もない。そうと決まれば、目的地を『浜松駅』に設定して歩き出した。

街灯がぽつぽつ。汗がじんわり。お気に入りのアイドルメドレーを聞きながら、ゆっくりと一歩ずつ駅へと向かう。2010年代メドレーが熱い。

アクトタワーが少しづつ大きく見えてくる。駅がゆっくりと見えてくる。いつもの顔とは違う夜の顔。夜の『浜松駅』。来る時間帯が違うだけでこんなにも見え方が違うのか。

▲夜の「浜松駅」前。夜の静けさとライトアップもあっていつもとは違う雰囲気

今日はいつもの散歩とは違いカメラを持参した。人があまりいない時間帯の駅。何も気にせずに集中して撮影。デジカメとはいえ、写真を撮っている時間は何も考えず集中できる。

さっきから普段色々と考えているようなニュアンスで書いているが、普段考えてる事なんて「今日の晩飯どうしよう」とか、「シャンプー買いに行かないと…」とか、そんなレベルなのでお気になさらず。

写真を撮りながら駅付近を散歩。なんだか「エモい」。人生でそうそう「エモい」なんて言葉使う事も無ければ、正直しっかりと意味が分かっている訳でもないけどとにかく「エモい」。

そういえば。

浜松に移住してきた頃、お昼の駅前で色々と写真を撮った事を思い出した。芸人人生の再出発。あっという間の二年間、色んな事があった。うまくいかない事もたくさんあって、悩んだ事もたくさんあった。今も日々失敗の連続で凹む。

それでも。

少しづつ浜松に慣れてきて。浜松の空気を知って。ちょっとずつ馴染んできた気がする。この夏、久しぶりに東京に帰ったが、駅にいる人の多さにびっくりした。浜松に来てから電車に乗る機会が減ったとはいえ、東京の乗車率の凄さに驚きを感じた。と同時に、この電車が当たり前で育ったはずなのに、その状況に驚きを感じている自分にもまた、驚きを感じた。