モサクのサウナでぐるぐる2

モサクのサウナでぐるぐる

第2回

日常にサウナを

【東上野 寿湯】東京都台東区

 

日本でサウナに入ること。これはもう、普通になった。

 

数年前からサウナブームというのが来て、若者を中心にサウナに夢中になる人が増えて、サウナに入ることへの疑問を持つ人は少なくなってきた。それと同時に最近、新しいサウナ施設がたくさん出来ている。

 

大自然の中でサウナを楽しめる「テントサウナ」や1人でゆっくりとサウナを楽しめる「ソロサウナ」というものなど。サウナに入ることが当たり前になった世の中で様々なサウナが楽しまれている。

 

最近、僕がサウナを好きというのを知っている人が僕によく言ってくる。

 

「最近出来た、〇〇っていうサウナに行ってきたんだけど、大自然の中にめちゃくちゃいいバレルサウナがあって、汗かいたら、目の前の川にそのまま入ってさ、そして、星を見ながら外気浴出来んのよ!最高だよ!」って。

うるせぇよ。最近、サウナにハマってるグラビアアイドルがYouTubeで行きそうなサウナじゃねえか。あれ、水着にしか目が行かないんだよ。

 

お前はなんにもわかってない。僕がサウナに入るということを。スペックだけでなんでも見る、最近の世の中と一緒だ。同級生で昔、好きだった女の子がインスタのストーリーでウニがたらふく乗った肉寿司を上げていたときぐらい、オレは悲しいよ。

 

最近、銀座線 稲荷町駅近くにある銭湯「東上野 寿湯」さんにはじめて行った。

 

 

「東上野 寿湯」

東京都台東区東上野5-4-17

http://www7.plala.or.jp/iiyudana/

 

 

その銭湯はもちろん、施設も素晴らしかった。外観は立派な宮造りで銭湯内の壁画も美しい。さらに、銭湯なのに露天スペースが広く、遠赤外線サウナと塩サウナ、そして、露天水風呂と洞窟水風呂。サウナと水風呂が2つずつもある。

 

でも、僕が最も感動したのはそこの日常的雰囲気である。

 

施設の充実度が凄いので、やっぱり最近の若者は多かった。その若者たちが露天スペースで大きな声で話をしていた。そこに、立派な刺青が入っている人が入ってきた。

 

その瞬間、その若者たちは一気に静かになった。これだと思った。

 

それは最近のサウナでは中々見られない光景だった。昔から利用している人がこの銭湯の雰囲気を作っている。明らかに若者たちは雰囲気からズレていた。それを背中で分からせる、常連客。その後のサウナ体験は本当に心地良かった。

 

みんな、静かな露天スペースで上野の夜空を見ている。耳に入ってくるのはお風呂が流れる音やシャワーの音だけ。若者もおじいさんも刺青が入っている人もみんな、日常の中にサウナがあることへの幸せを感じている。それを同じ場所で共有している。さっきまで雰囲気がズレていた若者も溶け込んでいる。今がみんなの日常になっている。

 

これは大自然でサウナをしたり、ソロサウナで味わえるものではない。この時間を超えるものなんてないと思った。

 

(文・写真/モサク)