夏と天パー

 

 夏は天然パーマにとって大敵な季節だ。
 高校生の頃、プールの授業が大嫌いで、適当な理由をつけては見学ばかりしていた。
 いくつかの理由はあったが、その大きな理由の一つは、髪の毛を濡らしたくなかったから。
 天然パーマにとって湿気は大敵である。
 ましてや水没などしようなら、そして、そのまま自然乾燥に任せたら、どんな爆発頭になるか知れたものではない。

 だれがよんだか知らないが、オレの小学生の頃のあだ名は「ラーメン」だ。
 オレの天然パーマは、クラスメートのからかいの対象であったし、よくネタにされた。
 休み時間になると、必ず誰かがオレの頭を食べていた。
 オレは、このあだ名が大嫌いだった。
 あまりにも恰好が悪いし、ましてや、オレのコンプレックスの真芯を突いているのだから。

 当時、きん肉マンが少年ジャンプで連載されていた。
 オレも大好きだったが、ある日、あらたな超人が登場した。
 その名もラーメンマン。
 オレは、ゆでたまご(作者)を恨んだ。
 案の定、クラスメートの更なるネタとなった。

 中学生の理科の時間、メンデルの法則を習った。
 その余談で先生が教えてくれた「天然パーマは優勢遺伝」という事実。
 あの日の衝撃は今でも忘れることはできない。
 親父は、頑固な天然パーマで、お袋はストレートだ。
 父系を見れば、おじいちゃんはストレートで、おばあちゃんは天然パーマだった。
 しっかり、優勢遺伝しているのだ。これは、一生もんだと諦めた。

 もうこの年になって、天然パーマにコンプレックスを感じることもないが、いっこうに馴染むこともない。
 大嫌いだったラーメンが、やっと美味しいと感じられるようになったのも、ここ数年のことである。

 また今年も夏がきた。
 ヒロタカが海だ、プールだと騒いでいる。
 去年の夏は、伊豆の海へいった。また、塩水が効くんだ天パーに…。

 一度でいいから、洗いざらしのサラサラヘアーになってみたい。

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